黒松翁ができるまで
蔵
蔵(手前から順に、出荷倉庫、宿直室、事務所、精米所が並んで見えます。)と、
蔵の前の通り(昔は忍者も通っていた?)
上野祭りでは山車が出て賑わう。
祭りの夜は、家の軒先に灯る提灯の明かりがのどかです。
米
地元の米で地酒をつくる。産地100%のお酒。
伊賀の山田錦を育てます。
田んぼの中には昆虫や蛙が楽しく暮らしています。
時々それを食べにに白鷺がやって来る。。。
(伊賀上野城は白鷺城とも呼ばれる。)
米作りは土作りから。
土が仕上がるのに、慣らしてから、1週間かかる。
植えたばかりの苗。
田植えの後。
生長中です。
稲(山田錦)の花です。
水
鈴鹿山脈の水脈。地下85メートルから汲み出される。
瓢箪に入れるだけでお酒になった、という養老の滝の伝説も納得できる。
超軟水(硬度3.0)で仕込むお酒はとても柔らかくてキメが細かい。
人
自社精米場で精米した大切な米をいたわるように、
洗って表面の粘り分を取り除いています。
洗米から仕上がった米は水分を吸って、
(洗米前の)透明色から、(洗米後)白色に変わります。
洗った米は、翌日の朝、米を蒸すまで麻布をひいたカゴ(ざる)の中でさらします。
手に取ると、水を含んだ時の米の中で起こっている組織の水和結合のせいでしょう、
ほのかに米の温度が上がっているような微妙な米の温度変化を感じます。
その米は、サラサラと砂時計のように音を立てて手から、
カゴの中へ滑り落ちていきます。
良い蒸しが出来るように、米に吸わせる水分を何分何秒吸わせるか決め、
ストップウォッチで測ります。
その日の天候と水の温度、米の品種と今年の米のクセ、
精米歩合(米の磨き加減)を考えて、経験とデータ、勘でベストの吸水にします。
水分の吸わせ方が足りないと、米の芯は生蒸しとなり、
麹菌の繁殖が出来なかったり、酵母の栄養にならなかったりしてしまいます。
また、水分を吸わせすぎると、表面の粘った蒸米となり、
サバケが悪くて米同士が引っ付いてしまい、麹もいいモノにならない。
また、タンクの中でも、溶けにくく、ダマになってしまいます。
神経を集中させる作業の一つです。
ベテランの蔵人山本さんと、杜氏を目指している正岡之典さん。
夏は冬に備えて設備の整備に余念がありません。
仕事に役立つ電気整備士2級の腕は現場経験の蓄積と自己啓発の努力から。
安田弘之 名誉杜氏。
モロミ(発酵中の米のドロドロの液体の事。)の管理はとても、とても、大事!。
毎日、化学分析で酸、アミノ酸、アルコール分、酵素力等の成分を測定して、最後は、研ぎ澄まされた人間センサー(舌)で、きき酒(ききモロミ)して、品質検査をします。
安本強 杜氏。 品質向上に情熱を注いで醸す。
醸造の道具は全てハンドメイド。自分で道具をこしらえて、使います。
[木造蔵]
[木造蔵]
[鉄筋蔵]
室内冷房にて、熟成しているお酒。
(蔵の中、丸ごと冷房です。 冬は勿論、夏も寒々、冷えてます。)
木造蔵はジャッキアップして、タンク上の空間を広げ、
隣接の鉄筋蔵にうまく溶け込んでいる。
麹をかわいがっています。
栗の香りのいい麹!出来たての麹を外気で冷ませます。
徐々に麹を固く締めていきます。
『黒松翁 斗びん取り 大吟醸』の袋取り、舟しぼり風景。
しぼると言っても実際は、加圧しない、袋にかかる重力だけ。
袋の表面から、じわ~。と、にじみ出る液(雫)を集めています。
出来たてのお酒のモロミを袋に取り、
舟(お酒を搾る道具(容器)の事)に置いて、しばらく待つ。
にじみ出た汁(お酒)を、2斗~3斗(1斗は18L)斗壜に受けて、冷房保管します。
味が軽くてふくらみがあり、吟醸香が深みがある華やかな、お酒の芸術品です。
大吟醸鑑評会用の仕込み1本(タンク1本)から、取れるのは36~54Lのみです。
(森本酒造では、最高の造りのお酒の最高の部分だけしか、「斗びん取り」としない。)